3Dプリンタでボックス止めを作った

洗面所にバスタオルを入れてるボックスがあるんですが、引き出すと滑って前に出てくる上に落下して不便でした。で、せっかく3Dプリンタがあるので固定具を作ってみました。

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Fusion360モデリング3Dプリンタで試作を2回くらいして形が決まったものがこれです。

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これを4組み分作ります。2枚目の手前の2列の部品が3つずつなのは試作で既に1つずつ出来てるためです。

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3Dプリンタで印刷してサポートを取り、ミニルーターでバリを取りました。

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これをボックスの手前下側と奥の上側にはめ込みます。

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これでバスタオルを出す時に引き出しを目いっぱい出しても滑ることも落ちることも無くなりました。

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形を考えるのとモデリングが15~20分、印刷が8時間(試作を除く)くらいでした。印刷は朝に始めて仕事に言ったので8時間でも長く感じません。こういう部品が簡単に作れるのが3Dプリンタの面白いところです。

ダヴィンチMini wの印刷精度を検証

ダヴィンチMini wで印刷したネジ穴の直径がちょっと小さい気がしたのでどの程度の正確に印刷できるのか検証してみました。

下は検証に使う3Dモデルで、左上が水平な穴が開いたモデル、左下が正方形の面を押し出したモデル、右が垂直な穴が開いたモデルです。

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この3つのモデルを印刷してノギスで実寸を測ります。印刷設定は次の通りです。

項目
品質 非常に良い
材料 PLA
ラフト なし
底辺 なし
サポート なし
内部充填密度 中(30%)
インフィルタイプ 格子
シェル 普通
レイヤの高さ 0.1
印刷速度 普通

水平な穴のサイズ

印刷したものと各穴のモデル上のサイズです。

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この穴の直径の実寸は次のようになりました。

モデルの直径(mm) 直径の実寸(mm) 誤差(mm)
0.5 - -
1.0 - -
1.5 - -
2.0 1.7 -0.3
2.5 2.2 -0.3
3.0 2.7 -0.3
3.5 3.2 -0.3
4.0 3.8 -0.2
4.5 4.2 -0.3
5.0 4.8 -0.2
5.5 5.1 -0.4
6.0 5.7 -0.3
6.5 6.2 -0.3
7.0 6.8 -0.2
7.5 7.3 -0.2

水平な穴を空けるとだいたい0.2~0.3mmほど直径が小さくなるようです。0.5mmの穴は完全に埋まっています。1.0mmと1.5mmの穴はほぼ埋まっていて直径を計測できませんでしたが一応表から裏までの穴は開いていたので、ピンバイスで穴を空けることができます。また、穴は見た目真円ではなくちょっと歪です。

正方形のサイズ

印刷したものと各直方体のモデル上のサイズです。バリがあって真上からの写真だと小さいサイズが分かりにくいので斜めからの写真も載せます。

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各直方体の縦と横の長さの実寸は次のようになりました。

モデルの1辺の長さ(mm) 縦の実寸(mm) 横の実寸(mm) 縦の誤差(mm) 横の誤差(mm)
0.5 0.8 - +0.3 -
1.0 1.1 1.1 +0.1 +0.1
1.5 1.5 1.5 0.0 0.0
2.0 2.1 2.2 +0.1 +0.2
2.5 2.6 2.6 +0.1 +0.1
3.0 3.0 3.0 0.0 0.0
3.5 3.5 3.6 0.0 +0.1
4.0 4.0 4.0 0.0 0.0
4.5 4.5 4.6 0.0 +0.1
5.0 5.0 5.1 0.0 +0.1
5.5 5.5 5.5 0.0 0.0
6.0 6.1 6.1 +0.1 +0.1
6.5 6.5 6.6 0.0 +0.1
7.0 7.0 7.1 0.0 +0.1
7.5 7.4 7.5 -0.1 0.0

誤差の範囲は-0.1mm~+0.3mmですがほぼ0.0mm~+0.1mmの範囲に収まっています。円よりも正確に印刷できるようです。0.5mm四方のものはバリと太さがほぼ一緒のためあまり正確に計測できません。一応直方体部分も印刷されているのでバリが出なければこのサイズでも印刷できそうです。

垂直な穴のサイズ

印刷したものと各直方体のモデル上のサイズです。印刷時は2枚目のように立てた状態になっています。

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この穴の直径の実寸は次のようになりました。

モデルの直径(mm) 水平方向の直径の実寸(mm) 垂直方向の直径の実寸(mm) 水平方向の直径の誤差(mm) 垂直方向の直径の誤差(mm)
0.5 - - - -
1.0 - - - -
1.5 1.2 1.0 -0.3 -0.5
2.0 1.6 1.7 -0.4 -0.3
2.5 2.1 2.4 -0.4 -0.1
3.0 2.7 2.6 -0.3 -0.4
3.5 3.2 3.1 -0.3 -0.4
4.0 3.7 3.5 -0.3 -0.5
4.5 4.0 4.2 -0.5 -0.3
5.0 4.7 4.6 -0.3 -0.4
5.5 5.2 5.2 -0.3 -0.3
6.0 5.6 5.3 -0.4 -0.7
6.5 6.0 6.4 -0.5 -0.1
7.0 6.4 6.4 -0.6 -0.6
7.5 6.9 6.9 -0.6 -0.6

誤差は-0.7mm~-0.1mmと大きめでした。縦方向の穴をサポートなしで印刷しているので誤差が大きくなるのは当然ですが、意外なのは幅も誤差が大きいことです。高さは重力があるのでサポートがなければその影響を受けますが幅はサポートの有無や重力は影響しない(と思う)ので理由はよく分かりません。

ダヴィンチMini wを購入

Raspberry PiArduinoで作ったデバイスを納めるケースを作るために3Dプリンタを買ってみました。

買ったのはXYZプリンティング社のダヴィンチMini wでAmazonで41,000円、合わせてブラックとホワイトのフィラメントも約3,200円と約44,000円で購入しました。

https://jp.xyzprinting.com/jp_ja/Product/da-Vinci-Minijp.xyzprinting.com

組み立て&テスト印刷

ほぼできた状態で来ますが少しだけ組み立てが必要です。

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組み立てといっても最初に内部の固定材を取り、プリントモジュールとフィラメントを装着するだけですが、付属していた紙の組み立てマニュアルが白黒かつ粗い印刷で写真に何が写ってるか分からない状態だったので、少し苦労しつつ組み立てました。ただ後で気付いたんですが、XYZプリンティングのサイトからカラーのマニュアルをダウンロードできるので、先にダウンロードしておくといいと思います。一緒にXYZwareというアプリもダウンロードしてインストールしておきます。

組み立てが終わったら電源入れてUSBケーブルをPCに繋いでXYZwareを起動します。

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起動したらマニュアルに印刷の手順が書いてある(画面が実際と違ったりしますが)のでその通りにやってみます。

が、左上の"↓"というアイコンをクリックするとダイアログが表示されてサンプルデータが6つ表示されますが全て別のダヴィンチシリーズのプリンタ用のファイルらしく、開けますがダヴィンチMini wで印刷できません。意味が分からない。
[2017/1/31 追記]
XYZwareのメニューの設定ボタンをクリックするとダイアログが開き、そこの"プリンター"というタブにある"サンプルファイルを開く"というボタンがあります。そのボタンをクリックするとちゃんと印刷可能なデータがありました。

幸いXYZプリンティングのサイトにたくさんデータが公開されているので小さめの物を選んでダウンロードします。私はこれを選びました。

サンプルデータを開いたらフィラメントのロードを行ってから印刷をします。最初なので品質は普通(3つの内一番低い品質)にしました。

印刷中はそこそこ音がします。

だいたい15分くらいで出来上がりました。

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文字の輪郭部分が所々崩れてたり全体が反ってたりしますが印刷品質設定を普通にしたからなのかは分かりません。質感は硬いプラスチックで手で折れないくらい硬く、重さは軽い感じです。

次は印刷品質を非常に良い、レイヤの高さ(層の厚さ)を最も薄い0.1mmに設定して印刷してみます。

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時間は約30分でさっきの倍の時間がかかりましたがさっきより文字の輪郭部分が崩れてます。層は確かに薄くなっていて、さらに全体的に角がしっかりしている(品質が普通のやつは角に少し丸みがある)ので、何か他の設定に原因があるのかもしれません。

Wifiの設定

ダヴィンチMini wにはWifi機能が付いているので設定してみましたが仕様がかなり不便です。

まずダヴィンチMini wのWifiの設定をするにはUSBケーブルをつなぐ必要があり、その状態でXYZwareからSSIDとパスワードを設定します。その後USBケーブルを抜ていもWifiで繋がっているので印刷ができます。

ただしWifiの設定はプリンタの電源を切ると消えてしまうようで、Wifi設定をした後に電源を抜いて移動させることができません。なのでPCとUSBケーブルがつながる範囲に設置することになります(もしかしたら別のノートPCでWifi設定をすれば離れた場所のPCから使えるかもしれませんが未検証です)。これが結構不便で、せめてスマホUSBメモリを使ってプリンタのWifi設定ができればWifi機能が活きるんじゃないかと思いました。

最後に

思ってたほどうまく印刷できなかったので色々検証する必要がありそうでした。

廊下の電灯を自動でOn / OffするデバイスのプログラムをF#で書き直した

前にRaspberry Piで動くデバイスのプログラムをF#で書き直した。

locaq.hatenablog.com

locaq.hatenablog.com

ソースコードは上の記事にリンクがあるのでそこから見られる。

理由

自分はどうも動的型付け言語は苦手みたいで中々モチベーションが湧かなくて静的型付け言語で書き直したくなったのが理由で、F#を選んだのは関数型言語を勉強したかったのと、Visual Studioで開発ができるから。

.NETからGPIOを扱うためのライブラリもいくつかあるので要求は今のところ満たせてる。

GitHub - locatw/WiringPi.Net: A simple C# wrapper for Gordon's WiringPi library.

raspberry-sharp (Raspberry#) · GitHub

Raspberry#はオブジェクト指向な設計になっていてC#と馴染む感じだけれど開発があまり活発でないのが気になる。raspberry-sharp-ioはPWMをまだサポートしていない(将来される予定らしい)ので自分がやりたいことができるか確認してから使うのがいい。raspberry-sharp-systemはRaspberry Piのモデルの種類やファームウェアのバージョンなんかのシステム情報が取得できるので、ライブラリを作るときに便利なんじゃないかと思う。

自分が作ったデバイスはサーボを動かすのにPWMを使っているので今回はWiringPi.Netを使った。ただ、こっちも開発がほぼ止まっていて(最近のissueに返信はあったけど)ビルドエラーが出て使えない状態だったので、フォークして修正したものを公開した。

Qiitaに記事を書いたので詳しくはそっちを参照。

qiita.com

感想

GPIOなんかのRaspberry Piに依存する部分以外はWindowsで実行できるので、Intellisenseやデバッグが快適で気に入ってる。(PythonVisual Studio用の拡張があって状況は同じはずなんだけど、いまいちうまく動かなくてあまり快適ではなかった。)

気になるのは、数あるセンサーを使うときに.NET用のライブラリが提供されるのは少なそうなところ。C言語用のライブラリがあればラッパーを書けるので.NETからでも使えるけど、ラッパーを書く分の手間はかかるので、そこはPythonとかの方が有利かなぁと思う。

あと、F#はまだ身についたわけではないから正しいか分からないけれど、デバイス用のプログラムを書くのに適しているかというと内容によるかなーという感じ。デバイスの状態を扱うならオブジェクト指向言語の方が適しているかもしれない。ただ、F#でも当然状態は扱える(クラスも書ける)し、関数型言語はロジックを書くのに適してる(と現時点では思ってる)ので、その比重が高くなれば特徴が生かせるんじゃないかと思う。

とはいえF#とC#だったらできないことの差はないので好きな方を使うのが一番快適だと思う。

それとPythonについては自分は使うのをやめることにしたけど、言語の優劣ではなく自分との相性と開発環境周りが理由なのでPython好きな人は気を悪くしないでほしい。自分でもこんなに相性や開発環境の影響があるとは思ってなかったのでびっくりしてる。

今後

F#で書き直したので今度はAzureのIoT Hubを使ってみようかと思って今勉強中&構成を考えてる。Azureなので.NET系言語との相性は良さそう。

廊下の電灯を自動でOn / OffするデバイスをRaspberry Piで作った(センサー側)

今回はこの記事のセンサー側について。今回のデバイスを作成した動機や全体の詳しい説明もこっちに書いてある。

設計

全体の構成を再掲。今回は左側の青い枠の部分の話。

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ハードウェア

ハードウェアはシンプルで、Raspberry Piと人感センサー、Wifiアダプタという構成。人感センサーはParallax社のPIRセンサーを使った。人が動くとセンサーの信号線からHIGHが出力されるので簡単に使える。

Raspberry PiPIRセンサーをそれぞれモールドケースに入れた。

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使ったもの

PIRセンサーとケース以外はスイッチ操作側と同じものを使って作った。

回路図

回路はこんな感じで作成した。PIRセンサーのVCCと3.3V、GND同士、信号線とGPIO17を繋いでいる。 信号線とGPIO17の間には220Ωの抵抗を挟んでいる。

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(図のRaspberry PiはModel A+がなかったのでB+のものを使った。)

ソフトウェア

コードはスイッチ側と同じくPythonで書いた。

PIRセンサーの出力を一定間隔で読み込んで、LOW→HIGH(人の動きを検知した)になったらスイッチ操作側のRaspberry PiREST APIスイッチ操作側参照)にアクセスして、廊下の電灯をOnにする。

Raspberry PiのGPIOへのアクセスはWiringPi2-Pythonを使った。

WiringPi2-Python

ソースコード

ソースコードgithubで公開している。

https://github.com/locatw/autonek-hamtor

設置

センサーを壁に取り付けた様子。壁美人っていう壁に開けた穴が目立たないフックがあったので、ケースの裏側に開けた穴に引っ掛ける形で取り付けた。リード線が見苦しいのでうまく隠す方法を探してるけど、まだ見つかっていないのでそのまま。

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Raspberry Pi側は洗濯機がある所に洗剤と一緒に適当に置いてる。


実際に動作してる様子はこちら。(スイッチ操作側と同じ動画)

廊下の電灯を自動On / Offするデバイス - YouTube